人の世が大変であっても季節は巡り、今年も実りの季節がきました。
初夏の長雨に頭を痛めたものの、しっかりと暑い夏だったおかげで今年も良い葡萄が収穫できました。
赤・黒ブドウの収量は例年より少なめですが、質の高い良い果実です。美味しい赤ワインが造れると気合が入っている岸平社長に話を聞きました。
「葡萄畑は20年サイクルと言われています。植えて3年目頃から収穫ができ、20年ぐらい経つと樹の力が弱まる。そこで新しい樹に植替えが必要になります。父の植えた葡萄が、欧州品種も含めてその時期を迎えており、毎年苗木の植え替えを行っています。」
植えるのは購入した苗木のほか、畑にある葡萄の木からつぎ木をしてつくった苗を使うこともあるそうです。それもタケダで育てるのでしょうか?
社長 「いいえ。しっかりした苗木が必要ですから、その道のプロにお願いします。実は小学校から高等学校まで一緒だった友人が家業としていましてね。相談に乗ってくれるし、そこに依頼して。」
苗木も上山育ちなのね。植樹の時期はいつ頃ですか? 社長 「毎年春先の仕事ですね。雪が消え地熱が上がってきて、暑くなる前。4月中旬〜4月末の2週間、ギリギリ粘って3週間弱。誘引と同時期なので大忙しですよ。」
今年の植替えはできました?
社長 「今年の植樹は例年より多く約2,000本。そのうち700本は新しい畑に『ピノ・ノワール』種を植えました。実を言うと“タケダ植樹祭”を計画していたのですが、3月の震災があって中止しました。お世話になっている酒販店やレストラン、愛飲家の方をお招きして、新しくピノ・ノワール畑をつくろうと企画を進めていた矢先の事でした。幸いにも当社は大きな被害はあまりありませんでしたが、新幹線も止まり、山形でもガソリンが手に入らないなどいろいろあったでしょう。うちのスタッフだけで全部植えました。」
「ピノ・ノワール種は父と1999年に試験的に50本を植えて、収穫時期などを探りながら栽培していた。ようやく美味しく造る勘どころも掴めてきて、本格的に取り組もうと畑を拡張しました。苗木はこの50本からつくったものです。」
なぜ敢えて“植樹祭”にしようと?
社長 「自分で植えた葡萄で造ったワインはまた違った味わいがあるかなとね。体験すれば、飲むときに畑や風や土・草の匂いも想い出して一緒に楽しめる。」
それは贅沢で幸福なことです。以前、半年間アルバイトをさせて頂いた私がそうですから。ところで、どんなワインを造るかもう決めているのでしょう?
社長 「ロゼの発泡酒。キュベ・ヨシコのロゼをつくる予定です。」
オオオそれは!首をなが〜くして待っています。
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