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その1 そうです。ワインは農産物なのです。 |
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典子氏に話を聴いて改めて気が付きました。工場で作っているけど工場製品では無いのです。スーパーで買う炭酸飲料がいつも同じ味である事と並べて、ワインを飲んでいたかもしれない。冬もトマトを食べ季節を忘れている様に、冷暖房の効いた部屋で暮らし“土”から離れてしまっているのかなと感じました。まして「○年前の夏は雨ばかりで」とか思い出すのは難しいですね。そういう意味では、ワインはその年の(主に)夏を瓶に封じ込めた飲み物と言えるかもしれません。その年自分は何をしていたかしらと思いながら味わうのも、又良いものではないでしょか。 |
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その2 酒石の話の中で興味深いものがありました。 |
リンゴ酸・クエン酸等の仲間である酒石酸は、昔から食品以外の使い方が知られていました。第二次世界大戦中、酒石の化学的特性を利用しラジオの部品にする為、日本軍が酒石を作らせたそうです。先頃、TVドラマでもその話が出ていたそうですが、タケダワイナリーにも軍はやってきて、当時貴重だった砂糖をどっさり置いて酒石を作るよう命令を下したといいます。なるべく沢山の酒石を摂る為に未熟な葡萄を収穫させる。当然、糖分不足により発酵が進まない。そこで砂糖投入。−ワイン醸造元が軍需工場にされてしまう。思いもよらない話に、ワインを美味しく楽しめるありがたさを考えてしまいました。 |
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こちらもご覧あれ |
以前(2003年3月号)、ご紹介した「日本のワイン」の山本博氏が企画し生まれた本です。山本氏が選出したワイナリーの責任者、つまり、今日本でワイン造りに必死でがんばっている人達が文章に表しました。もちろん、タケダワイナリー岸平典子氏も入っております。かなり専門的な話も多く、決してスラスラと読みやすくはありませんが、各々の醸造家の強い“思い”が伝わってきます。仕込みの忙しい時期に、こんなに熱の入った文を書くその情熱に頭が下がります。きっと日本のワインはもっともっと美味しくなっていくでしょう。それを育てるのは、パトロンである消費者でもあるわけです。
発行 蒲ソ理王国社/ 編 大塚謙一 山本博/ 定価 2,000円 |
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