キュベ・ヨシコに使われているコルク栓はシャンパン用です。発泡ワインは瓶内の圧力が高い為、他のワイン用とは違う、専用のを使います。瓶口の内径12mmに対し、コルク栓30mmと太い。材質は、天然コルク樫と圧搾(成型)コルクを組合わせてあります。ワインに触れる下側が天然素材。
抜栓後は大きなマッシュルームのような形をしていますが、使用前は普通の円柱形。それが蒸されて、栓としてはめられ、ワイヤーに押さえつけられ暮らしている内に、お馴染みのラブリーな姿になったのです。
実は、この「蒸す」が重要なポイント。二倍もある太さのコルクが極めて入りにくいのは、容易に想像がつきますね。そうなのです。タケダでも大変だったのです。
日本では先駆けとしてシャンパーニュ製法で造った本格的な発泡ワイン“キュベ・ヨシコ”のお目見えが1992年。その頃、典子氏は仏留学の真っ最中。そんなある日、日本の父から国際電話が掛かってきた。珍しいな何事か、と電話口に出ると、
「入らね。かっだい。」訳:コルクが硬くて瓶口に入らない。
力で何とかならないでもないが、製品として考えるとこんな大変なはずはない。商社に聞いても埒が開かないので、正しい方法を調べて欲しいとの事。仏でも扱う店ではわからず、コルク栓メーカーの電話番号を調べて問合せ、蒸気で柔らかくしてから使用する事が判明。タケダ工場では急きょ、家庭用蒸し器を使いながらの作業となった。
今はステンレス製の特注蒸し器を使っている。「これが大きくてね(笑)。」心意気です。
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