Winery通信 AUTUMN Vol.85
山形県はぶどう生産量が全国3位。特にデラウェアは日本一の産地です。
山形のぶどう栽培は歴史が古く、県のホームページ『おいしい山形』によると、南陽市が山形県ぶどう発祥の地。「江戸時代初期。地区内の大洞鉱山が隆盛していた頃、甲州(現、山梨県)の鉱夫が甲州ぶどうを持ち込んだ説、また出羽三山に通じるこの街道を通って、修験者がぶどうを持ち込んだ説のふたつが伝えられている」そうだ。タケダワイナリーのある上山市は、南陽市のお隣。南陽市同様、上山も葡萄栽培における4つの好条件、
①水はけの良い土地
②日照量の多さ
③年間降水量の少なさ
④昼夜の寒暖差が大きい
を満たす地なのであります。
上山市でぶどう栽培が盛んになった要因のひとつに、地元の篤志家高橋熊次郎の働きがあるといわれます。実業家で、初代上山市長でもありました。1914年(大正3)果樹園を拓き、個人で農業試験場的な栽培を行って、米国原産であるデラウェア種栽培の先駆者となりました。同じ上山市内にあり、1920年(大正9)に果実酒醸造免許を取得した武田家とは交流が深かったようです。ワイナリー敷地内にある「多羅葉」の木は、この高橋家から譲られたと伝えられています。
100年以上の栽培経験を持つ山形のデラウェアから造られたワインは、山形の顔ともいえる存在です。近ごろはワイン専用に栽培された有核(種あり)ぶどうも増え、ますます美味しくなっています。この度リリースした「タケダワイナリーKOANA 樽熟成 白(辛口)2020年収穫デラウェア100%」のぶどう栽培地は、上山市の小穴地区。有核デラウェアを100%使用しています。
収穫した年による味わいは言わずもがな、畑による個性の違いも、是非たのしんでいただきたいと思います。
菅井由美子(すがいゆみこ)
山形市在住/弊社社長、岸平の高校時代からの友人。成人から高校生の3人の子供の母親。葡萄収穫をはじめ、ワイナリーでのいろいろな仕事の経験がある。それを活かしつつ、タケダワイナリーの今の様子をレポートタッチでお伝えしています。