Winery通信 2021 AUTUMN Vol.77
気温が高い時期の買い物袋には、保冷機能が欠かせません。生鮮品はもちろんのこと、ワインや日本酒を買う時にも必要です。1・2時間のことでさえそうなのだから、ワインをクール便で輸送するのは道理です。
タケダに寄せられたお客さまの声の中に、山形のお店でワインを買い求め贈ったところ、味が変だと言われたというものがあったそうです。
調べたところ、お店のワイン保管状況は良好、送付先は西日本で、クール便ではなく普通の宅配便での配送でした。山形から西日本に荷物を送ると、早くても翌々日の配達になります。温度管理が大事なワインにとって、トラック荷台に長時間置かれるのは望ましくありません。お聞きした"変な味"の特徴や保管の状況と期間から推察しても、そのワインは輸送中に高温劣化したものと考えられました。
岸平「ワインは温度にデリケートな飲み物です。その上、弊社のワインは酸化防止として加える亜硫酸が少ないので、影響を受けやすい。うちが季節を問わず、全商品クール便で送る理由です。」
そのお店には、タケダワイン購入のお客様へクール便利用の声掛けをお願いして承諾をいただいたそうですが、すべての販売店となると難しいかもしれませんね。
岸平「そんなに温度管理が厳しいのはタケダだけだとおっしゃるお店もありました。声掛けも、忙しい会計時にお手間をお掛けすることになります。売場にポップを置いてもらうなど、わかりやすくお知らせするやり方を模索しながら進めています。」
美味しいのを飲んでいただきたいですものね。ところで、ワイン保管は何℃以下なら大丈夫なのでしょう。
岸平「12~15℃が理想です。15℃以下なら良しではなく、低すぎても低温劣化してしまいます。飲んで美味しい温度と、保管に適した温度は違います。発泡酒や白ワインは5~12℃が美味しいといわれますが、保管には低過ぎです。1か月程度の短期間なら問題ないように思いますが。」
家電メーカによると冷蔵庫の野菜室で3~8℃。セラーじゃないと家庭で長く保存するのは難しいんですね。
岸平「大事なのは温度管理です。冷やすことではありません。例えば冬に北海道へ送るのもクール便を使用しますが、外気よりクール便の方が温度が高く一定なんですよ。普通の宅配便で送ったらワインが凍ってしまったなんて話もありますからね。
ワインの扱いは"お刺身と一緒"と考えると解りやすいですよ。高温に置かない、凍らせない、強い匂いの近くに置かない。」
ナルホド心得ました。
菅井由美子(すがいゆみこ)
山形市在住/弊社社長、岸平の高校時代からの友人。成人から高校生の3人の子供の母親。葡萄収穫をはじめ、ワイナリーでのいろいろな仕事の経験がある。それを活かしつつ、タケダワイナリーの今の様子をレポートタッチでお伝えしています。