Winery通信 AUTUMN Vol.89
今年も暑い日が続き、屋外作業がホントに大変でした。日が昇るともう暑いですし、西日の熱さも結構です。草の伸びる早さに驚かされます。
15ヘクタールの自家農園を有するタケダワイナリー。除草剤を使わない栽培方法を選んでいるわけですが、夏の雑草にはどう対処しているのでしょう。
岸平「草刈機を使って行います。5月下旬~8月下旬までスタッフを2班に分け交代で、連日草刈りを行っています。シルバーさんに入ってもらうことも。いろんな草刈機があるんですよ。実際見てみます?」
丁度、その日の草刈り班が畑から戻って機械を洗浄中。社員の三沢さんが機械を操作しながら説明をしてくださいました。
三沢「斜面はラジコン草刈機のアグリアで最初に刈ります。キャタピラ走行、遠隔操作式です。結構きつい勾配とか、整地されていない地面でも安定して進みます。人はアグリアの後ろについてリモコンで操作ができるので、視野を広く保てるのがいいですね。パワー自慢のドイツ製です。アグリアが入れなかった所は手押し4輪式のスパイダーモアを使います。この刃を見てください。(マシンを横にして底部のカッターを見せてくれる)4枚の刃が回転して草を刈ります。刃先の部分は可動式になっていて、石などの硬いものをうまくかわす工夫がされています。刃こぼれしにくい。これは日本製です。」
なんかお国柄が出ますね。
三沢「平地は乗用のラビットモアーで刈ります。大きいですからね。垣根仕立ての畑の畝間を刈ることが出来ます。斜面も平地も最後は刈払機で葡萄の幹のキワを仕上げていきます。」
岸平「近頃は人員配置から段取りから、三沢さんに任せています。」
岸平「実際草刈りにかかる時間が短縮できていると思う。もうひとつ、ワイナリー見学のお客さまにカワイイと評判の草刈機があるのよフフ。」
カワイイ?
岸平「ロボット掃除機ってあるでしょ。あれの草刈機版・オートモア。スウェーデン製です。工場前にあるシャルドネ畑の通路側を黙々と刈ってくれて。9時~17時が勤務時間、休日はなし。決められたエリアを刈って、自分で充電しに戻る。ワイナリー見学で畑の案内の際、働いている様子をご覧になったお客さまが『カワイイ~』と。人気者ですよフフ。」
私の友人にルンバに名前をつけて"放し飼いしている"と言う人がいますが、そういう...。
岸平「いやそんなんじゃないけど、実際なかなかカワイイ奴だし。」
道具への愛着も大事なんですね。
Winery通信 AUTUMN Vol.89
株式会社ワイン王国 定価1,870円(税込)
特集「長野、山形、北海道空知、新潟 日本の"ワインバレー"探求」。本文を引用すると日本のワインバレーとは"市町村など行政区域を越えて地理的特徴やワインに大まかな共通点を持つワイン産地の総称"だそう。バレー=谷なんですね。"山形バレー"はまだ聞かぬが十分値するとのこと。特に今回山形で注目されたのはマスカット・ベーリーA。ドメイヌ・タケダ 古木が「日本のワインの中でもトップクラス」とお褒めいただきました。
産業経済新聞
日本ワイナリーアワード5つ星受賞に関連した記事です。「味わい究める女性醸造家」として、社長岸平典子氏が取材を受けました。
株式会社ハリズリー
株式会社土屋鞄製造所のグループ会社ハリズリーのwebメディア。「つくる つなげる はぐくむ」の3つを柱とした記事で構成されています。「つくる2024.7.31と8.2」の記事は"タケダワイナリーのものづくり"。社長岸平典子氏についてボリュームのある記事になっています。ダイバーシティをテーマにした、今まであまり見なかった視点の記事です。
株式会社Henry Monitor
HenryMonitor社は小松精機工作所の磁界式センサの市場展開を行う会社として設立。土壌分析を通じワイナリーと関わる中で、日本ワイナリーを応援する専門webメディアを立上げた、とのこと。2024.1.15の記事は「タケダワイナリー 山形の個性と造り手の思いを映す、滋味あふれるワイン」。丁寧な取材と簡潔な言葉選び。ゆっくりしたテンポで読むことが出来ます。
Winery通信 AUTUMN Vol.89
■タケダワイナリー クリオエクストラクシオン ナイアガラ[白・甘口]2023年収穫
甘い香りに柔らかな渋味、食中酒として楽しめる甘口白。茹でた粗挽きソーセージを胡桃のチップで燻す。それをフライパンで焼く。肉の脂は美味いが、黒胡椒の香りがちょっと邪魔かな?脂多めのハムも良さそう。塩だけで味付けた粉ふき芋はいわゆる「間違いない」一品。
きのこの腐葉土っぽさが秋らしい組み合わせ。にんにく、黒胡椒、クミン、少々のカルダモンをヒマワリ油で炒め、香りが出たところで玉ねぎと合挽肉を加える。数種類のきのこも加え塩で調味。火が通ったらバジルを炒め合わせる。ピタパンにはさんで食べる。バジルを生ミント葉に変えてもOK。
クリアでシャープな味わいの赤。練り胡麻(白)+醤油+みりんをだし汁でのばし、胡麻ダレを作る。だし汁で湯通しした薄切り豚肉を器に盛り、キャロットラペを添え、胡麻ダレで食す。胡麻の甘味とコクがとても合う。冬は豚しゃぶ胡麻ダレと合わせておもてなしメニューの完成です。
Winery通信 SUMMER Vol.88
みなさま覚えておいででしょうか。2008年北海道洞爺湖サミット最初の乾杯は「ドメイヌ・タケダ《キュベ・ヨシコ2003》」でした。キュベ・ヨシコは、シャンパンと同じ伝統方式で造られる瓶内二次発酵の発泡酒です。造り方をおさらいしてみましょう。
はじめに、ベースとなる白ワインを造ります。
次に、二次発酵に必要な、アルコールの中でも安定して働く強い酵母"酒母"を作ります。少量のベースワインに酵母を加え、アルコールに慣らしながら育て、増やします。
そして、ベースワインに酒母と砂糖を入れて瓶に詰め(ティラージュ)、王冠で栓をしてセラーへ。瓶の中で二次発酵が始まり、発生した炭酸ガスがワインに溶け込み、スパークリングワインになります。役目を終えた酵母は澱になり沈殿します。
澱から旨味や香りが出るので、そのまま寝かせます。これをシュール・リと言います。3年経過した気温が最も低くなる時期に、瓶口に澱を集めます(ルミアージュ)。その後、王冠ごとポンッと澱を飛ばして(デゴルジュモン)、コルクを打栓しワイヤーで固定します。ここから通常3年寝かせて完成です。
ちなみに仏国ではミレジメ・シャンパーニュ(収穫年を表記することが許される逸品)は瓶詰め(ティラージュ)から出荷まで最低3年以上と規定があるそうです。
今回リリースする≪キュベ・ヨシコ良質年産≫は、殊のほか葡萄が良質だった2003年収穫。つまり、洞爺湖サミットで各国首脳が召し上がったワインの古酒です。通常より長い10年以上のシュール・リ期間を設けました。
繊細な泡立ちに、シャルドネの香りとシャープな酸が広がります。
この1本との出会いは、こころに刻まれる体験となるでしょう。
Winery通信 SUMMER Vol.88
交通新聞社 定価880円(税込)
特集1『なつかしの鉄道旅』特集2『いまこそどっぷりハマろう台湾の沼』とつづき、昭和レトロな電車の写真や、鮮やかで美味しそうな台湾フードの記事を進んでいくと、連載『広いぞニッポン!今月のお宝まち』が上山市の特集です。テーマは≪かみのやま温泉でテロワール旅≫。テロワールといえば上山、上山といえばテロワールですよ。市内のワイナリー、温泉旅館、文具店、カフェをピックアップ。近頃、上山にはコーヒー&カレーのお店や、菓子店がオープンしています。個性豊かなお店は、個性豊かな人柄あってのもの。テロワールをあじわう旅先は上山温泉、アリです!
株式会社プレスアート 定価1,100円(税込)
背表紙に「山形の食をテーマに本を1冊つくりました」。ありがとうございます。先ずは御礼を申しあげてから。
表紙から書き出してみます。"そばライターが選ぶ山形そば十選"、"美酒県を支える酒蔵&ワイナリー"、"編集部が選んだ山形の名店"、"ご当地ラーメン日本一酒田のラーメン"。タイトルだけでも悶絶でしょう。山形にずっと居ると気づけない食の豊かさを仙台闊歩が本気で教えてくれました。インタビューは①吉村美栄子知事②奥田政行シェフ(アル・ケッチァーノ)③小関敏彦先生(山形県酒造組合特別顧問・山大客員教授)④岸平典子社長(タケダワイナリー)の方方。読み応えあります。
この本を読んだら何度も山形に通いたくなりますよ。
Winery通信 SUMMER Vol.88
親鶏モツのトマト煮
しっかりボディの赤に、肉風味の強い親鶏を合わせる。"冷たい肉そば"が名物の山形県河北町の肉屋さんで親鶏モツを発見。
①玉ねぎ&人参は8㎜角にカット、にんにくはみじん切りに。
②圧力鍋にオリーブ油を熱して、ローリエと①を炒め、香りが出たら鶏を合わせて炒める。トマト缶を加えふたをして煮込む。
このワインのいきいきとした力強さとミネラル感がとっても合う。
■タケダワイナリー ブラン・ド・ノワール樽熟成[辛口]2023年収穫
①新玉ねぎと人参は薄く切り、塩をしてしんなりさせる。
②豚ガツと豚のど軟骨を茹で、洗って、3~5㎜巾に切る。
③①を軽く洗って、水気をとる。
④ボウルに、柚子胡椒をポン酢で溶いておく。
⑤そこに②と③を入れ和える。白ごまをふる。
ワインの柑橘系の香りとよく合う。欧州のどこかでこうやって飲んでいそう。
■レ・フレール タケダ ノンバリック シャルドネ[白・辛口]2023年収穫
樽を使わない直球シャルドネに、ほっこり素直なひと皿"じゃがバター"みたいな。
①じゃが芋はよく洗って丸ごと蒸かす。
②山羊乳チーズのシェーブルとグラスフェッドバターを4:1の割合で混ぜる。室温で柔らかくなったところをフォークで混ぜまぜ。
③蒸し上がった芋に切れ目を入れ、②を載せる。ディルを添える。
繊細なワインとケンカせず、称えあうかのような関係。出会えて良かった良かった。
Winery通信 SUMMER Vol.88
ワイナリー併設の売店では、2024年4月から試飲を再開しております。無料のワイナリー見学と試飲、お買い物をお楽しみいただけます。春は芽吹き、夏から秋は葡萄や仕込作業、冬は雪景色と四季折々の風景をご覧いただけますので、お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください。
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[ワイナリー売店の営業について]
■4月1日~11月30日 日曜休業(8月13日~16日は夏季休業)
■12月1日~3月31日 土・日・祝日休業(12月29日~1月4日は年末年始休業)
【売店営業時間】10:00~12:00/13:00~17:00
【見学受付時間】10:00~11:30/13:00~16:30
※見学は事前予約制となりますので、お電話(TEL:023-672-0040)またはメール(HPのご予約フォーム)にてご予約ください。
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ご来店お待ちしております!
Winery通信 SPRING Vol.87
しょうゆと相性がいい安心の1本。ほっくりした食感の京芋と牛肉を濃い目のしょうゆ味に煮付ける。牛肉脂の甘味がより美味しく感じる。
フルーティな香りとすっきり酸が、泡と共に立ちのぼる。ここはバシッと元気にいこう。焼き鳥のタレの甘味が合う。うずら卵のガスっぽい風味が合うので燻製を合わせるのも良さそう。ウスターソースのスパイス、甘酸っぱい味も相性良し。
香り高く正にハイクオリティワインとした風格。クセの強めのチーズを合わせたい。山羊乳のチーズ"シェーブル"。今回は表面に木炭粉がまぶしてあるアッシュタイプを用意。JA産直で入手した乾イチジクスライスにのせて食す。クリーミーなチーズと上品な渋みが絶妙。これは大正解。
Winery通信 SPRING Vol.87
毎年楽しみにしているサン・スフル白を、今回も2023年のリリース後すぐに購入しました。前回飲んだ時と、味わいや色合いの印象が違うように感じましたが、収穫年の違いなのでしょうか。(ワイナリーショップにて)
いつもご愛飲いただきまして誠にありがとうございます。
ご指摘の通り、葡萄の収穫年(ヴィンテージ)による違いが大きく関係していると思われます。ワインは葡萄のみを使用した農産物なので、気温や雨量など天候の影響を受けた葡萄の特徴が、ワインの味わいに直接表れます。具体的には、雨が少なく気温の高い年は、果実味豊かでパイナップルなど南国感のある香りとリッチな味わいが感じられ、反対に冷涼な年には、柑橘やハーヴの香りとエレガントさを感じるなどの特徴があります。2023年は南国的印象となり、冷涼な印象の2022年と比べ、印象の大きく異なるヴィンテージとなりました。単一品種(デラウェア)での醸造で、収穫年の特徴がより出やすいワインだったことも影響しているかと存じます。
タケダワイナリーでは、すべての商品で、ヴィンテージごとの葡萄の特徴や良さを最大限に活かすワイン造りを行っています。その為、収穫年により印象の違いをはっきりと感じられることもありますが、その年その年の葡萄の個性として、違いも愉しんでいただけますと幸いです。ボトルに収穫年を表記していますので、どうぞご理解を賜りまして、今後ともご愛飲くださいますようお願い申し上げます。
Winery通信 SPRING Vol.87
令和6年能登半島地震により被災された皆様にお見舞いを申し上げます。全ての方が一日も早く平常な生活に戻られることを心よりお祈り申し上げます。
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高級白ワイン用品種のシャルドネは栽培適地が広く、原産地といわれるフランスをはじめとした欧州、北南米、オーストラリア、アフリカ、そして日本と、世界中で作られています。産地によりワインの個性が異なり、酸の立つ凛々しい印象の寒冷地産、トロピカルで芳醇な温暖地産といったところでしょうか。当然、合う食材も変わり、飲み比べも楽しい品種だと思います。
今回リリースの『シャトー・タケダ シャルドネ 2020年収穫』はどうでしょう。岸平社長にお聞きします。
岸平「のびやかな葡萄を味わえる芳醇なワインです。」
以前、冷涼さの酸と熟した葡萄の旨味を得る為に、収穫を分けているとおっしゃっていましたね。
岸平「そうです。2020年は2段階に分けて収穫しました。」
岸平「搾った果汁をタンクにひと晩だけ入れ、大きい澱を除いて木樽に移します。樽の栓をずらし、湧いてくる澱の出口を作り発酵させます。1週間くらいアクが吹き出るので、悪い菌が付かないように樽とその周辺の清掃は欠かせません。多い時は一日に3回程、樽の外側を水で洗い流しますが、樽の中へ水を入れない且つよごれを残さない事が肝要です。ちなみにこの樽洗浄に当たるのは、私と、醸造担当のひとり岸さんの二人だけです。」
単純ながら繊細な仕事なのですね。樽に種類はありますか。
岸平「いろいろあります。ウチで使っているのは仏国のオーク樽。同じ仏国でも地方によって特徴がある。実際に使ってみないと判らないし、結果が出るまで時間が掛かるからマッチする樽を見つけるのもひと仕事です。」
「一度使った樽を旧樽と言いますが、タケダワイナリーでは出来るだけ旧樽を使う様にしています。新樽だけでは樽香が前面に出てしまいますが、旧樽の場合は葡萄本来の果実感をしっかり受け止めながら、渾然とした奥行きも醸してくれるからです。しかし、木製品の樽を長く綺麗に使うのは結構難しいものです。衛生管理など、細心の注意を徹底的に払っていますよ。」
当初、日本の酒税法では認められていなかった樽発酵。税務署の酒税担当から国税局に掛け合い、認可を得て、造ることができるようになったそうです。
そんなストーリーも一緒に、味わいたいと思います。
菅井由美子(すがいゆみこ)
山形市在住/弊社社長、岸平の高校時代からの友人。成人から高校生の3人の子供の母親。葡萄収穫をはじめ、ワイナリーでのいろいろな仕事の経験がある。それを活かしつつ、タケダワイナリーの今の様子をレポートタッチでお伝えしています。